2023年の日本企業が関与するM&A件数は4,015件で、2022年に比して6.7%減少し、3年ぶりに減少したと報告されている。日本を除く主要市場での金利上昇が企業評価の透明性を低下させ、投資意欲を削いだと思われる。対照的に、日本製鉄によるUSスチール買収(進行中)や日本産業パートナーズによる東芝買収、産業革新投資機構によるJSRの買収など大型取引の発表を反映し、取引額は2022年比52.2%増の約17兆9,000億円(1,240億米ドル)となった。
4,000件を超える取引のうち、国内取引は完了件数が2022年に比べて8.2%減少したにもかかわらず、取引総額が85.1%増加した。最大の驚きは、2022年に行われたすべての日本企業による海外企業買収の件数合計が5.8%、総金額が134.0%増加したことだ。円がドルに対して約15%下落したにも関わらずである。 これは、日本の投資家・企業が海外企業を買収する際、短期的な為替差損(または利益)よりも長期的な戦略的価値をはるかに重視しているという我々の見解を裏付けるものと思われる。 当社にとって残念なことに、円安にもかかわらず、日本へのインバウンドM&A取引は総額で半減、件数で15.3%減少した。
この文脈で、1960年代から日本との取引に携わってきたタイの消費者製品コングロマリットであるサハ・グループの会長ブンヤシット・チョクワタナー氏のコメントに注目することは重要である。同氏は日本経済新聞に対し、ほとんどの日本企業は海外のパートナーと信頼関係を築くために長期的な視点を持つことができるが、従来の意思決定プロセスには多くのステップと時間がかかりすぎ、市場状況の変化に反応できないと語った。そのため、スピードが重要となった国際ビジネスで競争できない。
チョクワタナー氏は、日本企業は、若い従業員をより有効に活用することで、年配の従業員では生み出せないデジタル技術を活用した新しいアイデアを採用し、成長を促進するべきだと指摘している。